お葬式のマナー
公開日: 【終活とは】何から始めればいいの?段取りを詳しく解説します
【終活とは】何から始めればいいの?段取りを詳しく解説します
家族葬のらくおう・セレモニーハウスの葬祭ディレクターの福井です。
高齢化社会が進むにつれ、「終活(しゅうかつ)」に興味を持つ人が増えています。
そんな中、終活をはじめてみたいけど「いざ始めようとすると何から手をつければよいかわからない」「という方も多いのではないでしょうか。生きているうちから、自分の死について考え準備をしておくことは、残りのご自身の人生をよりよく生きるためにも必要なプロセスです。元気なうちに率先して、周囲が言い出しにくい話をしておくことで、結果的にご家族様の負担を減らすことにも繋がります。
今回は、終活の始め方や終活でするべきこと、どのようなスケジュールで進めればよいかなど、終活の段取りや流れ・内容について詳しく解説します。
終活とは?
終活とは、元気なうちに自分自身の死と向き合い必要な準備をしておくことをいいます。
具体的には、どのような医療や介護を受けたいか、 葬儀やお墓はどうしたいか、相続に関する要望はあるかなど、終末期に関するご自身の望みをまとめ、遺品整理や遺影撮影、葬儀費用の貯蓄など、ゆくゆくは必要になるであろう準備を進めておくことをいいます。
終活の目的
終活は、決してネガティブな考えから行われるのではなく、むしろ「残りの人生をより豊かにするため」というポジティブな発想から行われる活動です。終活を行うことで、自分の死や死後のことに対する漠然とした不安を解消し、残された時間で何がしたいか、何ができるのかを考えるきっかけにすることができるためです。
また、生きているうちにご自身の死後に必要な準備を進めておくことで、亡くなった後に「家族に降りかかる負担を最小限にしたい」という考えから終活を始める方も少なくありません。
終活を始めるタイミング
よく、「終活はいつから始めればいいんでしょうか?」という質問を耳にすることがあります。
たとえば、定年退職したタイミングや、配偶者を亡くした時、また70歳の誕生日を迎えたタイミングなど、人生の節目節目において終活をするきっかけはいろいろあるかと思います。
しかし、終活にはいつが最適というタイミングは特にありません。ご自身がしたいと思ったタイミングが始め時といえるでしょう。「思い立ったが吉日」という言葉があるように、終活に興味を持ったタイミングで、できることから始めていくのがおすすめです。
終活の段取り
続いては、どのような手順で終活を進めていけばよいかについてお伝えしたいと思います。終活の段取りには、「エンディングノートの作成」「医療・介護のこと」「生前整理」「資産整理や相続準備」「遺言書の作成」「葬儀やお墓のこと」など多岐にわたります。
ここではそれらを、ひとつひとつ順を追って解説していきます。
エンディングノートの作成
終活を始めたいと思った時に、最初に取りかかりたいのがエンディングノートの作成です。エンディングノートは、自分の死後に必要な情報や、老後の生活に対する希望や目標、家族へのメッセージなど、なんでも自由に書くことができるノートのことです。特に決まったフォーマットがあるわけではなく、自由に書き溜めておくことができるものなので、ご自身の死後にご家族様が読むことを前提に、メモをとる感覚で書き残したいことを綴ってみてください。
エンディングノートに書く内容としては大きく2つのことがあります。
①残された家族に伝えておくべき情報
②自分の人生や、家族、周囲の人への想いについて
もし、何を書けばよいかわからないという方は、書くべき項目が印刷されている市販のエンディングノートを購入するのもおすすめです。
【よくエンディングノートに書かれる内容】
・ご自身の基本情報(本籍地や生年月日、血液型など)
・家族や友人へのメッセージ
・介護や医療に対する考えや要望(認知症になった時の考え方や延命措置に対する希望など)
・葬儀に対する考えや要望(希望する葬儀社や葬儀形式、呼んでほしい人、遺影写真など)
・お墓に対する考えや要望(希望する納骨先など)
・財産や資産に関する情報(財産のある金融機関、借入金やローンなどの情報)
・相続に関する考えや要望(相続人が複数いる場合は希望の分け方など)
・ID・パスワード情報(パソコンのログインや各種契約解除に必要な情報)
上記を参考に、伝えたい想いや、ご自身が亡くなった後にご家族様が知っておくべき情報を細かく書き記しておきます。
またこの後お伝えする内容は、逐一エンディングノートに書き記して、それを見ればすべてのことがわかるようにしておくと、ご自身の死後、ご家族様が様々な手続きをする際に役立てることができます。
医療・介護に対する考えや要望を整理する
もし持病がある方は、病名や服薬履歴、かかっている病院や主治医などの情報をご家族様に伝えておきましょう。また万が一認知症になった場合のことや、延命措置に対する考え方を整理して伝えておくことも大切です。
生前整理をしておく
生前整理とは、身の回りで本当に必要な物だけを残し、不用品は捨てたり人に譲るなどして整理しておくことをいいます。死後にご家族様が行う遺品整理の手間を軽減することができますし、何より、本当に必要な物だけに囲まれて残りの人生を過ごすことができるため、ご自身の気分も晴れやかになります。
また生前整理は物だけではなく財産の整理も含みます。生前整理をしておくことで大切な財産や思い出の品を、希望に沿った形で引き継いでもらうことができます。
葬儀やお墓の準備をする
生きている間に、自分の家族に葬儀の話をする人は少ないと思います。しかし葬儀に対するご自身の想いを伝えておくことはとても大切なことです。
一昔前は、葬儀といえば多くの関係者に声をかけ大々的に執り行う一般葬が主流でしたが、最近は身内のみの家族葬や、お通夜・告別式を省略し直接火葬場でお別れをする火葬式・直葬などもあり、葬儀スタイルも多様化しています。
ご自身がどのような葬儀形式を希望しているのか、また葬儀に呼んでほしい友人知人はいるか、遺影写真はどれを使ってほしいかなど、いざ葬儀の準備をする段階で、ご家族様が悩まれるポイントはたくさんあります。ご家族様の負担をなるべく減らすためにも、葬儀に対する希望は事前に伝え、ご家族様の合意を得ておくと安心です。
また、葬儀社が行なっている事前相談会などを利用し、生前に葬儀社を見つけて事前予約を行なっておくこともできます。そうすれば、葬儀社選びでご家族様が迷うこともありません。
家族葬のらくおう・セレモニーハウスでは葬儀に対する不安や疑問を解消していただくため、事前相談を行なっています。まずはお気軽にご相談ください。
事前相談についての詳細はこちら
またお墓についても同様です。自分の死後、どこに納骨をしてもらいたいか、あるいは散骨などの希望があるのかなど、事前に家族に知っておいてほしいことがあれば伝えておきましょう。
そして、すでに契約した葬儀社や納骨堂がある場合は、名称や連絡先をエンディングノートに書いておくとよいでしょう。
財産・資産整理、相続準備をする
まずはご自身の財産がどれだけあるかを把握しておきましょう。貯金だけでなく、不動産や株などの資産についても同様です。現在どれだけの財産・資産があり、ご自身が残りの人生を豊かに過ごすためにはどれだけの費用が必要か、さらにはご自身の死後、残されたご家族様の生活についても考えながら整理をするとよいでしょう。
財産や資産を把握し、その行き先についてしっかりと決めておくことは、相続争いや親族トラブルを防止することにつながります。これらは根気を要する作業でもあるため、病気や認知症などのリスクも考え、元気なうちに財産管理をしておくことが重要です。
もし相続に関してご不安がある場合は、専門家に相談することも視野に入れて進めていきましょう。
遺言書の作成をする
実は、財産や資産の分与方法をエンディングノートに書いただけでは、法的効力はありません。遺産の分与に対する要望を有効にするためには、遺言書の作成が必要不可欠です。
遺言書には3つの種類があります。
●自筆証書遺言
使用する筆記用具や紙に条件はなく、自分で書く(自筆する)ことができる遺言書です。筆記用具と印鑑があればすぐに書くことができ費用もかかりません。ただ、手軽に作成できる反面、無効にもなりやすく、紛失・隠蔽・破棄・変造のリスクや、発見されないリスクなどがあります。ちなみに、自筆証書遺言は法務局に預けることができますが、預けなかった場合は検認が必要になります。
●公正証書遺言
公証人に作成してもらう遺言書です。自筆証書に比べて確実性が高く、争いの種になりにくいのが特徴です。必要であれば公証人に自宅や病院に出向いてもらって作成することもでき、自筆である必要もないため、病気療養中の方でも遺言書を作成することができます。ただ信頼性が高い反面、証人を2名立てる必要があり、費用も手間もかかるというデメリットがあります。
費用は相続財産の額によっても変わりますが、3,000万〜5,000万で2万9千円程度、5,000万〜1億で4万3千円程度が目安となります。
●秘密証書遺言
遺言書の作成内容を誰にも知られたくない場合に有効な遺言書です。こちらも署名と捺印だけご自身で行えば、パソコンや代筆でも可能なため、文字を書けない状態でも遺言書を作成することができます。ただ無効になりやすく、紛失・隠蔽のリスクや発見されないリスクがあるため、実務上はあまり利用されていないという現状があるようです。
上述の通り、最も信頼性が高いのは「公正証書遺言書」です。相続に関してご自身の要望を確実に反映し、争い事を避けたいという場合は、少し手間と費用はかかりますが、公正証書遺言書を利用するとよいでしょう。
よりよい終活にするための3箇条
終活は、ご自身のことはもちろん、ご家族様のことも考えて進めていく必要があります。
より有意義な終活にするためには、以下のことを心がけておくとよいでしょう。
①家族とのコミュニケーションを大切にする
終活のよいところは、家族とコミュニケーションをとりながら、自分の終末期のことを一緒に考えられるところでもあります。相続のこと、葬儀のこと、お墓のことなども、ご家族様と話し合いながら進めていけると、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。エンディングノートを書いていると、一人では決められないことも出てくると思いますので、ぜひご家族様と相談しながらまとめてみてください。
②情報収集を怠らない
葬儀のことは特に、事前の情報収集が大切です。自分の目で見て確かめることができるうちに、自分の葬儀を任せる業者を決めておければ安心ですので、葬儀社の事前相談を利用するなどして情報収集をしておきましょう。また、相談をしておくことで、どのような葬儀にしたいかというイメージも湧きやすくなります。
「身内だけの温かい会にしてほしい」「関わった人全員に盛大に見送ってもらいたい」など、葬儀に対する希望は人それぞれです。予算のことも含めて、自分らしい葬儀を実現できるよう、できるだけ多くの葬儀社を見比べて情報収集をしておきましょう。
③他の人の考えも参考にする
終活をしていると、つい行き詰まってしまうこともあると思います。そんな時は友人に相談したり、もし周りにエンディングノートを作成している人がいれば見せてもらうなどして周囲の人の意見や考えに触れることも大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。終活は、今までの人生を振り返り、これからの人生をどう生きるかを考えるためにも必要なプロセスです。元気なうちにできることを済ませておくことで、残りの人生を思い切り満喫することができ、悔いのない人生にできるのではないでしょうか。
これから終活をしてみようと考えている方にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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