ご葬儀のこと
公開日: 火葬で骨を残さない方法はある?遺骨を処分したいとお考えの方へ
火葬で骨を残さない方法はある?遺骨を処分したいとお考えの方へ
家族葬のらくおう・セレモニーハウスの葬祭ディレクターの北村です。
日本では、お亡くなりになった方のご遺体は火葬されるのが一般的です。
火葬の後は、残ったお骨を骨壷に収める収骨(拾骨)という儀式を行った後、最終的にはお墓や納骨堂に納骨されます。しかしさまざまな理由から、骨を残さずに処分したいと考える方がいらっしゃいます。その中には、火葬の際に骨を残さずに焼き切ってほしいと希望する方もいらっしゃるようです。
今回は、そもそも日本では火葬時の「焼き切り」ができるのか、また火葬後のご遺骨を適正に処分する方法はあるのか、などご遺骨の処分方法について解説したいと思います。火葬場で遺骨を引き取ってもらう方法についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
火葬で骨を残さない方法はあるの?
日本でご遺体を火葬した場合、一般的にはお骨が残っている状態で収骨室に運ばれてきます。そして収骨(拾骨)の儀式が行われ、参列者によってお骨が骨壷に納められます。しかし何らかの理由から、お骨を残したくないと希望する方がいらっしゃいます。その場合は、火力を高めて骨が残らないようにする「焼き切り」という方法で対応することができます。しかし、その方法に対応している火葬場は少なく、現在は西日本の一部の火葬場に限られています。
日本ではわざと骨が残るよう火葬している
ちなみに外国で火葬を行う場合は、すべての骨を灰になるまで焼き切る方法が一般的です。しかし日本では独自の燃焼技術によって、わざわざ骨がきれいに残るようにしています。つまり収骨(拾骨)は日本独特の風習なのです。
収骨(拾骨)をする意味とは
そもそも収骨(拾骨)は仏教的な考えに基づく儀式です。二人一組になって箸でお骨を拾う儀式には、あの世とこの世を隔てている三途の川を、故人様が無事に渡れるように手助けをするという仏教的な意味合いが込められています。
骨を残さず焼き切ってしまうと収骨(拾骨)の儀式は行えませんので、仏教的な供養という観点からは外れてしまうことになります。
また、もし「焼き切り」を行った場合でも灰は残りますので、その灰をどうするかという問題も浮上してきます。
収骨(拾骨)は必須ではない?
実は、収骨(拾骨)は、必ずしなければならないと法律で定められているわけではなく、収骨をしなくてはいけないかどうかは、各自治体の条例によって決められています。つまり、地域によってはしなくてもよい地域があるということになります。そのためご遺骨の処分を考えている場合は、まずはお住まいの地域で、火葬後のご遺骨の扱いがどのようになっているかを確かめてみる必要があります。
収骨(拾骨)における西日本と東日本の慣習の違い
そもそも西日本と東日本では、火葬後の収骨(拾骨)における慣習が異なります。
東日本では火葬後に残ったお骨のすべてを骨壷に収める「全収骨」という方法が取られるのに対し、西日本では喉仏の骨など重要な骨だけを骨壷に収め、残りは火葬場によって処理される「部分収骨」という方法がとられています。ちなみに西日本で収骨後に残ったお骨は各自治体によって最終埋葬地にて供養されることになります。
このように、もともと一部しか持ち帰らず、残りは火葬場が処理するという慣習が根付いている西日本の方が、収骨(拾骨)を行わないという選択に対して寛容な傾向にあるようです。
「焼き切り」を希望する場合はどうすればよい?
前述の通り焼き切りができる火葬場は限られています。そのため事前に可能かどうかを調べる必要があります。焼き切りが可能な火葬場であれば、予約をして指定された日に火葬を行うことになります。火葬の予約だけをして当日焼き切りの依頼をしても対応してもらえません。必ず焼き切りを希望していることを予約時に伝える必要があるので注意しましょう。
そのため「焼き切り」を希望している場合は、まずは火葬場の予約をしてくれる葬儀社に相談してみるのがよいでしょう。
火葬後のご遺骨を引き取りたくない場合はどうすればよい?
多くの火葬場は、火葬後のご遺骨を引き取ってくれます。この場合も、まずは葬儀社に相談してみましょう。葬儀社が火葬場とやり取りをして必要な手続きを踏むことで、火葬場で遺骨を引き取ってもらうことができる場合が多いです。ただしこちらも事前相談ありきです。当日火葬場で受け取り拒否をしても、引き取ってはくれませんので注意しましょう。
遺骨の処分を希望するケースとは?
「焼き切り」や「収骨なし」など、ご遺骨の処分を希望する理由は人それぞれあると思います。ここではいくつか考えられる理由をお伝えします。
お墓に入りきらない
一つは、これ以上お墓に入りきらないというケースです。収骨を終えたご遺骨は、ご家族様によって一旦はご自宅へと持ち帰られた後、四十九日法要などのタイミングでお墓や納骨堂などに納骨されますが、先祖代々の墓に納骨する場合、代々永く続く家系であればあるほど、納骨するスペースがなくなってしまうという事態に陥りがちです。その場合、スペースの都合上、やむなく処分を考える方がいらっしゃいます。
墓じまいを考えている
「お墓の後継者がいない」「子供たちに管理の負担をかけたくない」などの理由から、お墓を撤去・解体する「墓じまい」を考えている方は年々増加傾向にあります。そのように墓じまいを検討している方の中には、いずれ墓じまいをするのであれば、そもそも納骨せずにあらかじめご遺骨を処分してしまいたいと考える方もいらっしゃいます。
納骨する手立てがない
最近は、後継者問題や金銭的な問題からお墓をつくらない人も増えています。また稀ではありますが、菩提寺に納骨を拒否されてしまうケースも考えられます。このように納骨をする場所がないために、ご遺骨の処分を考える方もいらっしゃいます。
遺骨に思い入れがない
故人様と親交がまったくなかったにも関わらず、遠い親戚という理由でご遺体を引き取るケースなどがありますが、そのような場合、そのご遺骨を先祖代々のお墓に納骨するのには抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。また生前から仲が悪く絶縁状態になっていた方が亡くなりご遺骨を引き取らなければならない場合なども同じです。このような理由からご遺骨の処分を希望するケースも考えられます。
法律違反にならずに遺骨を処分する方法と費用相場
上述のように、ご遺骨を処分したいと考える理由はさまざまあります。事前に依頼して火葬場で遺骨を引き取ってもらう以外に、散骨や樹木葬、合祀墓への埋葬、納骨堂での永代供養など、お墓にとらわれない供養方法もあります。これらは一定の費用が必要になりますが、お金をかけてきちんと供養はしてあげたいとお考えの方は検討してみてもよいかもしれません。
なお、火葬場でご遺骨を引き取ってもらう場合は無料〜3万円程度の費用がかかります。それに対して、散骨や合祀墓への埋葬は5万〜30万程度、樹木葬は5〜100万円程度、納骨堂で永代供養をする場合は10〜300万円程度の費用が必要になります。費用に幅があるのは、地域や利用するサービスの種類によっても費用が異なるためです。
このようにご遺骨の処分方法にもさまざまな選択肢があることを知り、それぞれのケースに最も適した方法を選ぶことが大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
骨を残さずに火葬する「焼き切り」という方法はあるものの、その方法に対応している火葬場は日本では少なく、主に西日本の火葬場に限られています。また、収骨をせずに火葬後にその場でご遺骨を処分したいと考える場合は、お住まいの自治体の条例で許可されているかを確認する必要があります。
遺骨を処分したいと考える理由にもよりますが、適正に遺骨処分する方法は多数あり、その中でも火葬場にその場で引き取ってもらう方法が最も費用や手間が少なくなっています。希望する際には、まず葬儀社に相談をしてみましょう。
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