直葬でも戒名が必要なケースと、その費用やルールを解説します。

家族葬のらくおう・セレモニーハウスの葬祭ディレクターの柴田です。

葬儀の際に僧侶にお渡しする戒名料は、「費用が高いしなぜ必要なの？」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
特に宗教儀式を省略した「直葬」でのご葬儀を考えている場合は、戒名を授けてもらうべきかどうかで迷われている方も多いのではないでしょうか。

今回は、「そもそも戒名って何？」「直葬でも戒名は必要？」「絶対につけなくてはいけないものなの？」など、戒名にまつわる疑問にお答えしたいとおもいます。

戒名とは

仏教において、仏の弟子になった証として授けられる名前のことです。
天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、浄土宗では「戒名」といわれますが、戒律が存在しない浄土真宗では「法名」、法華経を大切にする日蓮宗では「法号」といわれています。

戒名は、本来なら生前に授けられるものですが、現在はお亡くなりになられてから葬儀までの間に僧侶につけていただくのが一般的です。

戒名にはランクがある？

本来仏教の世界では人間は平等とみなされているためランクづけはタブーとされていましたが、現代の慣習では、故人の生前の行いや戒名料（お布施）の額などによって戒名が変わります。また、戒名は基本的に文字数が多いほどランクが高いといわれています。

戒名は「院号」「道号」「法号」「位号」で構成されており、中でも「院号」のある戒名は寺院に大きく貢献した人に与えられる最上位のものとされています。

また、浄土宗は「誉」、真言宗は梵字、日蓮宗は「日」「妙」、浄土真宗では男性に「釋」が、女性に「釋尼」がつくなど宗派によってそれぞれ特徴があります。

戒名のランクとお布施の相場

お布施は2万円〜100万円以上と幅広く、一般的な相場としては30~40万といわれていますが、お寺や戒名のランクによって金額は大きく変わってきます。

一般的に授かる「信士・信女」の戒名で10~50万程度、「居士」「大姉」で50万〜80万程度、「院信士」「院信女」で80万以上、「院居士」「院大姉」で100万以上が相場となっています。

知っておくべき戒名のルール

基本的には上記のようにお布施の金額や生前の活動によって決まる戒名ですが、２点ほど知っておくべきルールがあります。

・同じお墓に入っている先祖よりも高いランクの戒名はつけられない
・夫婦で同じお墓に入る場合は、戒名のランクをそろえる

直葬の場合、戒名は必要？

直葬とは、お亡くなりになられてからご遺体を24時間安置したのち、直接火葬場にてお見送りをするご葬儀の形です。通常行われるお通夜・告別式といった宗教儀式を省略して火葬のみを執り行うため、費用を最小限に抑えることができるなどのメリットがあります。

このように宗教儀式をおこなわない直葬の場合、戒名をつけないケースも多いですが、つけてはいけないということではありません。実際に、直葬でもご家族様の意向で戒名を授けてもらうというケースもあるようです。

どんな時に戒名が必要？

戒名を授けてもらうべきかで迷ったときの判断基準にするためにも、どういった場合に戒名が必要かという基準を知っておきましょう。

戒名が必要になる場合

●お通夜・葬儀・告別式といった宗教儀式を伴う葬儀をおこなう場合
お通夜や告別式をおこなう場合は僧侶をお呼びして読経してもらいます。基本的に葬儀と戒名授与はセットになっていますので、この場合は戒名が必要になります。もちろん、戒名料を含んだ相応のお布施が必要になるので準備しておきましょう。

●お寺のお墓に納骨する場合
たとえお通夜や告別式をおこなわず直葬でのお見送りをしたとしても、ご遺骨を寺院墓地に納骨をするのであれば戒名は必要になります。戒名を授かっていない場合、納骨を断られることがあるからです。また戒名は必ず納骨先の僧侶に授けてもらいます。ですので先祖代々のお墓に納骨をするのであれば、菩提寺に葬儀の相談と合わせて戒名授与についてもお願いしておくとよいでしょう。もし菩提寺が遠方のため葬儀を頼めないという場合でも、戒名だけは菩提寺にお願いします。

戒名が必要ない場合

●公営の霊園に納骨する場合
お寺のお墓や納骨堂に納骨せず、公営墓地などの宗旨宗派不問の霊園に納骨する場合は、戒名が必要ありません。公営なので決まった宗派もなく、檀家といった考え方もないため、さまざまな宗教の方が同じお墓に入るケースもあります。

●永代供養の寺院・納骨堂に納骨する場合
永代供養の場合、戒名を刻む墓石や位牌が必要ないため、戒名が必要ありません。

●自然葬にする場合
自然葬は遺骨をお墓に納めるのではなく、海や山などの自然に還す葬送の形です。古くは風葬、土葬、鳥葬などといった葬送の方法がありましたが、現在自然葬というと、樹木葬、海洋散骨などがあげられます。最近ではお寺が樹木葬を行うケースも増えてきており、場合によっては戒名が必要になることもありますが、海洋散骨の場合は戒名は必要ないことがほとんどです。

直葬でも戒名を授けてもらいたいとき

直葬でも戒名を授けてもらいたい場合、菩提寺（先祖代々の墓があるお寺）の有無によって相談先が変わります。

菩提寺がある場合

先祖代々の墓へ納骨はしたいが、葬儀は直葬でおこないたいという場合は、事前にお寺に相談する必要があります。
基本的に、宗教儀式を省略した直葬は、充分な供養ができないという理由からお寺の許可が降りないケースも多いです。もし許可が得られないまま直葬をおこなってしまった場合は、最悪、納骨ができなくなってしまうなどのトラブルも考えられますので注意しましょう。

ただ直葬では納骨ができないというお寺でも、火葬前の炉前読経や四十九日の法要をお願いすることで、納骨してもらえる場合もあるようです。まずは菩提寺に相談してみましょう。

菩提寺がない場合

菩提寺がない場合は葬儀社に相談してみましょう。うまくいけばご自身の宗教・宗派にあったお寺を紹介してもらえ、戒名を授かることができるかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか。
戒名は、宗教儀式の有無と納骨先によって必要なケースと、必ずしもそうではないケースがあります。

例えば宗教儀式をおこなわない直葬で、公営墓地に納骨を考えている場合は戒名はなくてもよいですが、一日葬や家族葬などのお通夜・告別式を伴う葬儀をおこなう場合は、納骨先が公営墓地であっても戒名は必要になります。

戒名を授かるかどうかは、故人の意思を尊重することも大切です。可能であれば生前にご本人のご意向を確認しておくとよいかもしれません。

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